2023.10.18
10月5日(木)、Scenting Design Academy主催にてオープンマンスリーセミナーを開催いたしました。
10月のテーマは「 人にやさしい暮らしづくり × Scenting Design 」
いつか誰かを少しでも幸せにする事が出来るだろうか
という問いを追い続ける株式会社日比野設計、日比野拓会長。
幼児、高齢者、福祉へ特化した建築設計を主軸に保育園やカフェの運営をおこない、食や農業、地域振興、文化への活動と最近の事例をご紹介いただきながら人に優しい建築空間づくりについて理解を深めました。
リアル、オンラインともに多くの方にご参加いただき活発な質疑応答や事例に照らし合わせた香りの選定とブレンドを行いました。
セミナーにはさまざまな業界の方にご参加いただいておりその中でもk.regalo(カッパ・レガーロ)クリエイティブディレクターの樺澤貴子氏に素敵にレポートをいただきました内容を掲載いたします。
参加をご検討されている方、さらに今回のセミナーに興味を持たれていた方はぜひご覧ください。
幸せの記憶が生まれる場所
幼少期の空間で覚えていることについて、記憶を手繰り寄せた時間だった。こっそり入った父の書斎、少し緊張感を感じさせた祖母の家の仏間、モザイク画に彩られた幼稚園の玄関、静かな光が注いでいた市立図書館の絵本コーナーなど。その場所に想いを馳せると、なぜか香りの記憶も蘇る。古い本やインクの匂い、お線香や土埃の香り──遥か遠くの引き出しにしまい込んでいた空間の記憶が、香りの印象を伴うと一層クリアな映像として浮かび上がるから不思議だ。
10月5日に開催された[Scenting Design Academy オープンマンスリーセミナーVOL.3]は、「人にやさしい暮らしづくり×Scenting Design」がテーマ。前半では、幼児、高齢者、福祉へ特化した建築設計を主軸に、保育園やカフェの運営も手がける日比野設計の日比野拓会長が登壇。これまでに手がけた空間デザインを解説しながら、その背景に込められた思いが語られた。幼少期の空間体験が、その後の感性を司るという数々のエピソードを、洗練されたデザイン空間とともに眺めながら、この場所から巣立った子どもたちは、どんな大人になるのかと想像し、羨ましい気持ちと期待感が交差した。
後半では、そんな日比野さんのデザイン空間に、事前に配られた6種類の精油をもとに、参加者が意図をもってカオリをデザインするワークが行われた。写真から伝わる目からの情報に加え、窓の外に広がる海の香り、建物に用いられている木の香りをイメージしながら、入居している園児やお年寄りの気持ちになって想いを巡らせる。午前中と午後でカオリを変えたらどうだろう、季節によって異なるカオリを纏わせたらどうだろう……楽しい妄想時間はあっという間に過ぎていく。
「いつか誰かを少しでも幸せにする事が出来るだろうか」と、日比野さんは自らに問い続けて設計をしているという。昔、陶芸家に取材をした時に「焼き物には、つくった人の気配が残っている」と聞いた。建物もしかり。幸せを願い、地球からの贈り物である自然素材を注いだ空間は、“今”この瞬間も、遠い未来にも、幸せの記憶を紡ぐことだろう。
Reported by Takako Kabasawa
*次回開催は11月を予定しております。
最新の情報は公式インスタグラム @scentingdesignacademy をご覧ください。
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